| 群発頭痛歴35年(1981〜2016)、55歳、男性、大阪府在住、現在13回目の群発期中です。悪魔が来るのは常に右側です。 この投稿が皆さんの参考や一助になるのかどうか、自信がありません。が、このサイトで、明るく乗り越えようとしている同士がたくさんいることに勇気づけられたことの感謝は申し述べなければならないと思い、投稿しています。ほんとにありがとうございます。 【私の群発頭痛】 右の眼の奥で悪魔が呪いの鐘を叩き鳴らし始め、やがて頭部右半分を、この上なく不愉快でこの上なく激しい痛みが襲い、右目から右後頭部をそっくりえぐり取って捨ててしまいたい衝動に駆られ、ピークでは頭皮はおろか、毛髪に少し触れるだけでも激痛が走るのに、それでも頭の右半分を壁や床に打ち付けてのたうち回らずにはいられないという、あの地獄の痛みと35年も付き合っています。しかし、いまだに親近感は湧きません。呪わしいばかりです。 私の群発周期は最短2年最長4年、平均2.7年に1回です。群発期間は、曖昧な記憶ですが、最初の頃は1〜2週間程度、しかしすぐに1か月を超え、長い時は2〜2.5ヶ月を超えました。その間、1-2日空くこともあれば、毎日悪魔が来ることもあります。発作の時間帯は、昔は朝方が圧倒的に多かったのですが、最近は不規則です。数日間同じ時間帯が続く、という傾向はあれど、それがまた変化し、朝、昼、夜を問わない、規則性のない傾向に変わっています。 また、発作の継続時間は、イミグラン点鼻薬や自己注射など、発作時の鎮痛薬を持ち合わせなかった頃は、2時間で収まることは殆どなく、3〜4時間が標準的だったと思います。 因みに今回の群発期は7月14日から始まり本日で48日目、使ったイミグラン点鼻薬の個数は51個、40日目からついに初めて手を出したイミグラン皮下注射の本数は2本です。 【群発頭痛との正式な出会い】 私の35年の群発歴の中で、1981年から2003年までの22年間、8回の群発期については、自分が群発頭痛という名の病気であることの自覚なく、3〜4時間の発作が終わるのを、ただひたすらのたうち回りながら待つだけの辛い日々でした。この22年間で4医療機関(2機関は総合病院、2機関は専門病院)に掛かりました。いずれも脳神経外科で、毎回CTを撮られ、MRIを撮られて異常なしの所見、バファリンを処方されるだけでした。痛みも止めてもらえないのに3日間も入院させられ、効かない座薬を肛門から挿入され続けたこともありました。 今から思えば脳神経外科にばかり掛かっていたことがそもそもの誤りだったのですが、しかし、当時は知恵も知識も情報収集能力も乏しく、何より、情報収集ツールすなわちインターネットがなかったせいで、自らの無知を打開することができませんでした。 「でも痛いんです。」心の叫びは、脳神経外科の医者達には伝わりませんでした。 またその間、「片頭痛でしょう。」との所見のもとに、複数のお医者さんからいろいろな薬の処方受けました。具体的には、カフェルゴット、ゾーミッグ、レルパックス、クリアミン。但し、クリアミンは発作時の鎮痛薬としてでなく、予防薬として毎食後服用した、という記憶です。が、全て、十分効くことはありませんでした(というより、ほとんど効かなかった、といった方が正しい。)。 そして2006年、9回目の群発期の時、私の人生の転機が訪れました。インターネットの普及により、著しいIT音痴の私にでも、間中先生の「頭痛大学」に辿り着くことができたのです。頭痛大学に掲載されていた「群発頭痛」という耳慣れない病気の症状として説明されているその内容が、自分のそれとドンピシャであり、青天の霹靂でした。 そして、当時、私の住む町の隣町の市立病院の神経内科のT先生が頭痛を見て下さることをも「頭痛大学」からご教授賜り、すぐに受診しました(神経内科、という科があることすら、この時まで知らなかった。)。ここで初めて正式に、「貴方は間違いなく群発頭痛です。」と診断され、予防薬として先生から処方されてトライしたデパケン、ワソランの効果はあまり確認できませんでしたが、(1)自分の病気の名前が「群発頭痛」であると分かったこと (2)その病気を診て下さるお医者様と巡り合えたこと (3)発作時には、その効果の程度に差こそあれ、先生に処方して頂くイミグラン点鼻薬により、それ以前に比べれば格段に苦しみが低減されたこと これらの点において、この2006年は私にとって本当に人生の転機になったと言って過言ではありません。 【初めての点鼻薬そして初めての自己注射】 発作時に初めて点鼻薬を使用して、15分程度で痛みが引いた時の喜びと感動は、今も色褪せません。 しかし最近は、点鼻薬1個で悪魔が去ることの方が少なく、建前NG、本音OKと言って下さる先生のお陰で、2時間空けることなく2個の点鼻薬を使うようになっていました。ところが今回の群発期では、2個でも収まらない、というケースが頻発し、3個使う、或いは1日2回の発作に対して1日4個使ってしまう、という状況です。金銭的なこと、すなわち、1個約300円(保険適用)の点鼻薬を3個使うのなら、1回約1,000円(保険適用)の自己注射と変わらない、という意味合いもなくはないですが、点鼻を1個挿して効かない、2個挿してもダメ、と、様子を見ながら段階を踏むごとに苦しむ時間は長引くわけですし、また、口の中もあの独特の苦みに長時間支配されるくらいなら、ちくっと一時期痛い思いをしてでも即効性のある皮下注射の方がいいのではないか、という考えで、ちょっと、自分で注射を打つ、というのは怖いなと思いつつ、背に腹は代えられない、イミグラン皮下注射を先生に相談して初めて処方頂きました。 そして、8月22日の発作時、点鼻1個で効かないタイミングで太もも外側に注射しました。確かに注射は痛いですが、悪魔の痛みを考えれば蚊に刺される以下です。 針が刺さってから5秒、と説明を受けましたが、念の為(?)10秒。刺しどころが悪いとぴゅっと血が滴り出ますが、そんなのは気にしない。待つこと5〜10分。なんとなく、のレベルですが、ちょっと胸のあたりが苦しい感じがしたり、体全体が熱い、重い、だるい、の入り混じったような感じになり、「これが副作用か?」と思っているうち、群発の鐘は静かに鳴りやんでいきます。初めて点鼻を挿した時の感動再び、という気持ちです。 ピークで注射したわけではないので、タイミングを逸してピークに至った状態でも効くのか? を検証したわけではありませんが(というより、その検証の為にピークまで待てるほど群発と仲良しな関係では到底あり得ない)、しかし、明らかに点鼻薬よりも即効性があることは間違いないと感じます。 以下、先生にお聞かせ頂いた話として、参考になれば、と思い列記します。 【点鼻薬について】 ・どちらの鼻に挿せばよいか、については、どちらでも同じである。 ・身体の大きさに関係なく薬の量は一定なので、体が大きい方であれば複数個使用は許容の方向である。 ・噴霧された薬剤が、全部鼻の粘膜に付着するとは限らないので、その点、薬の量はばらつくと考えられる。 【自己注射について】 ・打つ場所は、太もも外側、二の腕、腹、のどこでもよく、太ももが、最も直角に打ち易いので良いとされるが、最も痛くないのはおなかである。 ・外国人はズボンの上から直接太ももに打つらしいが、やはり一旦ズボンを脱いで消毒してから打たないと不衛生である。 続いて以下は、ここまでに述べ漏らした私見ですが、 【点鼻薬について】 ・私は、少しでも早く痛いところに届くように、と、必ず右の鼻の奥深くまで突き刺して、深く鼻から息を吸いながら噴射します。が、たまに、右の鼻が著しく詰まっていて左から挿すこともあり、その時に効き目が薄いか、といえば、確かにあまり変わらないような気はします。 ・また、噴霧後は鼻をつまんで俯くよう説明書は謳っていますが、それを守っても守らなくても、結果は変わらない気がしています。 【自己注射について】 ・確かに、太ももで筋肉に針が刺さるより、確実にメタボ脂肪だと分かっているおなかに刺す方が痛くないだろうと想像はつきますが、なんとなく、おなかを刺す、というのが怖くて、目下未経験です。 【酸素について】 ・2006年、市立T病院で待合中に発作が始まり、T先生の指示で酸素吸入。即効というイメージではありませんでしたが、確かに、徐々に緩和されていき、少し眠くなった記憶です。酸素はこの1回きりの経験です。 【アイスノンについて】 ・群発期中は、就寝時は欠かさずアイスノンですが、これは気休め程度で、全く効果はないと思います。 【予兆、余韻、薬投与のタイミングについて】 ・予兆があればかなり高い確率で悪魔はやってきますが、厄介なのは、ずっと予兆だけが続いて悪魔は来ない、というケースもあります。 ・逆に、発作のあとの余韻の痛みが延々と続くこともあり、これはこれで長時間続くことの不快感は半端ないです。 ・そういう時も点鼻薬を使用することがありますが、私の感じ方としては、これはこれで効果があります。 ・いずれにせよ、悪魔が来てほしくないという願望からなのか、ついついタイミグを逸してしまうこともありますが、とにかく、予兆があれば鼻から挿す、というのが正解のように思います。 【製薬会社に一言】 私がインターネットで頭痛大学に辿り着いた2006年当時は、ネット上では群発頭痛患者は5,000人に一人、と情報提供されていましたが、最近は1,000人に一人、と言われているようです。しかしこれは、この10年間で群発頭痛患者が激増したのではなく、潜在していて捕捉できなかった患者数が顕在しただけのことだろうと推察できます。日本の製薬会社は、いったいこれが何人に一人になれば本気で薬を開発してくれるのでしょうか。どれだけのニーズがないとペイしないのでしょうか。 勿論、もしこの病気が、例えば江戸自体にもあったとしたら、それこそCENSORED頭痛と言われるほどの痛みになす術もなくCENSOREDした人も多くいたかもしれません。それを思えば、現代に生まれて幸いだったといえなくもありませんが、しかし…、と思ってしまいます。 【脳神経外科の医者に一言、そして私が最も言いたいこと】 前述の如く、無知な私は脳神経外科の医療を度々受けたわけですが、私には、T先生にどうしても尋ねてみたいことがありました。それは、私が脳神経外科でいわゆるたらい回しにされていた頃、すなわち1981年から2003年ですが、この頃には既に「群発頭痛」という頭痛は認知されており、点鼻薬等の処方薬も存在していたのか否か、ということです。そして、その問いの答えは誠に残念なことに「YES」でした。 自分の無知は棚に上げてしか言えませんが、頭の右半分が死ぬほど痛いと言って転げ回っている患者がやってきて、いろいろ検査をしたものの、少なくとも自分の守備範囲内ではその原因は見つけられない。しかし目の前の患者は痛がっている。なぜだろう。どうにかしてやりたい。その時に、自分の守備範囲外に原因があるのでなかろうか、と、そういう発想を、医者は、持たないのだろうか。そして、少しそのことについて調べてくれて、「一度、神経内科で受診してみてはどうですか?」と、一言助言進言していてくれれば、恐らく私は、1981年から2003年までの22年間の人生をもっと楽に過ごせていたはずなのに、と思わずにいられません。 自分のエリアの案件でなければもう知らない、ということと、しかし、医者を志す人は、病や怪我に苦しんでいる人を助けたい、ということがその動機じゃなかったのか、ということとの矛盾に、私は答えを見い出せません。 【今後のこと】 T先生からは、「50才を超えて群発の人を私は知らないですよ。」と慰めて頂いて、またそれを期待して今日まで来ましたが、残念ながら悪魔は50才を超えてもやってきます。加齢により傾向は変化しますし、なくならないまでも、徐々に緩和されていくことを期待したりもしますが、今回の群発も残念ながら悪魔は衰えを見せません。 とにかく、皆さんのように、「明るく乗り越えて、どこまでも戦ってやる。」という気持ちは堅持するよう心掛けてはいますが、今回初めて自己注射に手を染め、その効果に感動していることの裏側では、「点鼻薬だって最初はよく効いた。もし、点鼻薬の効き目が薄れてきたのがいわゆる「慣れ」だとしたら、近い将来注射にも「慣れ」てしまったら、私はどうしたらいいのだろうか?」という不安を感じずにはいられません。 長々と申し訳ありませんでした。 |
No.2314 - 2016/08/30(Tue) 17:54:32
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