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舞台で演じる楠田さんを初めて拝見する切欠となったのが、この「無頼の女房」でした。その為、今でもとても思い出深い作品です。 舞台を観る事が実に数年ぶりだった為、少々緊張をしていた事を今でも覚えています。そしてそれと同時に、大きな期待も。 楠田さん演じる大橋太郎は少し変わった人物で、最後まで予測の出来ない、憎めない可愛らしいキャラクターでした。 鶏(おはな)を持って早口に捲くし立てながら楠田さんが登場した瞬間には、一気に物語りに引き込まれていった程です。 席が右端の前だった事もあり、尚更大きな衝撃を受けた事を覚えています。そしてそれと同時に、妙にドキドキしていた事も(笑)。 舞台内容は昭和24年と言う事で、その時代を生きていない私は当初、ちゃんと作品に浸かる事が出来るか少々不安でもあったのですが、それは全く持って杞憂でした。 生きる事、死ぬ事…その「命」と言うものについて、様々な角度から深く考えさせられる舞台でした。 五助が書いた文章を読む太郎の、楠田さんの力強い声がダイレクトに響き、その拙いながらも意味の深い一字一句を、私も噛み締めていました。 命を燃やしてひたすら生きていく、そして、生まれてきた事に感謝をする…是非今を悩む現代人にぶつけたい言葉でした。 私も悩んだ際、ふとその文章を思い出し、その時心に響いた楠田さんの声を思い返していたのですが、妙にすっとした気持ちになった事を覚えています。 生きる意味を探すのではなく、生きている事に意味がある…何だか上手くは言えませんが、戦争を越え、現代にも力強い言葉かも知れません。 そして圭吾の「小説家は書けなくなったら終わり」と言う言葉に、言い知れぬ衝撃を感じていました。アマチュアながらにも文を嗜む者としては、中々グサッとくる言葉です(苦笑)。 そこは確かに昭和24年で、明りも、埃も、匂いも、全てに引き込まれていました。 本当は一回だけ観る予定だったにも関わらず、当日券でもう一度観に行ってしまった程です。 それはDVDにも言える事で、観た際にふと、あの場所に居るような気持ちになります。 そして、あくまでこれは私の個人的意見なのですが、この舞台は観た瞬間よりも、後に少しずつ体に染み渡っていく舞台だなと思いました。 舞台感想とは少し離れますが、終演後に緊張しながらもお話をさせて頂きました。 舞台後でお疲れだった事と思いますが、気遣いのある対応がとても嬉しく、また絶対に次の舞台も観に来よう!と言う気持ちに拍車が掛かりました。 思い出深い、忘れる事の出来ないこの作品。また、DVDで観たいと思います(^^) Tomomi. [No.167] 2005/02/19(Sat) 03:13:19 |