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二番目にクリアしたのは主人公かおりの高校時代の先輩である 藤沢なぎさ。かおりと同じ病院に既に勤めており、看護師としても 先輩としてかおりの指導に当たることになります。 かおりとなぎさ先輩は高校時代から非常に仲が良く、看護師と なってもその関係は変わらずに、二人で常に和気あいあいと過ごし 帰宅後は毎晩のようにかおりの部屋で酒盛りをし(笑)、といった かおりにとっての日常性の象徴のようなキャラクターですね。 しかしそれだけにかえって攻略対象としては難しく、まず共通 ルートから先輩の個別ルートに入るだけでも、先輩に冷たくしたり 他のキャラと仲良くしたり、という逆の発想に寄らなければ なりません。つまり、他の子と仲良くしたりすることで先輩の 嫉妬心を煽ってフラグを立てる、という方向なわけですが、 これ自体、結構気付きづらいですよね。 さらに、個別ルートに入ってからも、どちらが正解かが非常に 分かりづらい選択肢をいくつもクリアしていかなければならず、 ゲームとしての難易度はさゆりよりはるかに上ですね。 もっとも、なぎさ先輩EDの難易度が高いのは、おそらく作り手側が 意図的に、一度はBADエンドを見せようとしているからじゃ ないかな、と邪推してしまうところです。 というのも、なぎさ先輩のBADエンドは、作った側からすると おそらくどうしてもプレイヤーに見せたくなるであろうと思われる 衝撃的なものなんですよね(笑)。 なぎさ先輩のルートでは、かおりの身辺にまつわる謎の一つ、 しきりにかかってくる無言電話と脅迫メールの主の正体が 明らかにされます。っていうか、これは個別ルートに入るまでも なく、共通ルートの時点ですでに大方の察しは付くのですけどね。 常にかおりの動向を注視し、その生活の細部を知悉して脅迫 メールを送ることができる人物。かおりの勤務先にまで現れ、その 身辺に出没することが不自然ではない人物。そして何より、 かおりに対しそこまでの深い執着心を有している人物。 ……はい、ご想像の通りです(笑)。 なぎさ先輩は前述したように、かおりにとっての「日常性」の 象徴であると解されますが、それが物語が語られる中で完全に 反転して行くショッキングな展開がこのルートの見せどころと いえるでしょうか。 そして無言電話や異常メールを送る理由ですが、共通ルートの 時点では、かおりが怯えて自分へすがってくる効果を狙った マッチポンプであり、また同時にかおりが他者と仲良くすること への嫉妬心が暴走してしまったものなのかと考えていました。 が、個別ルートに入って明かされたのは、単にそれだけでは なく、かおりの能力、性格、他者との関わり方、すなわち彼女の 存在それ自体に付いて、強い羨望を抱くとともに、それと比べた ときの自己への否定的評価に凝り固まってしまい、歪んだ気持ちが 憎悪にまで高まっていたものであった、ということでした。 合わせて、なぎさ先輩が異動した配属先でいじめを受けていた ことが語られ、いわば人間の暗部と、病院という組織の暗部を 同時に描いたルートということにもなるでしょうか。 共通ルートやさゆりルートにおいては、看護師さんたちは皆 それぞれにそれぞれのやり方で懸命に医療に向きあっていることが 語られ、また仲も良かっただけに、ここで病院のネガティヴな面が 暴かれることにも衝撃があります。 さゆりのかおりに対する否定は、自らが過去に他者から愛され なかったことによる孤独によるものでしたが、なぎさ先輩の かおりに対する否定は、愛情の対象に自己を投影しすぎ、その 憧憬と現実の乖離による絶望がもたらしたもの、ということに なるのでしょうか。さゆりの場合は否定から始まって徐々に 近づいていくシンプルな流れなわけですが、なぎさ先輩の場合は 最初に非常に近しかった関係が衝撃的に一気に全否定され、その後 改めて再構成していくという過程をたどり、より起伏が大きく なってドラマチックになっていますね。 で、ハッピーエンドだと、先輩のそういった屈折した心情が 激しく吐露され、かおりを拒絶した後、なぎさ先輩が、疎外されて いた職場でも事件を起こしてしまい、ついに投身自殺を図ろうと するところへかおりが駆けつけ、これを止めることで無事、先輩の 心身ともに救うことになるという流れになります。 自殺未遂現場に置いて、なぎさ先輩が最後にやはりかおりを 待っていた、と言う点や、このクライマックスに置いてさゆりが 機能する役割についても興味深いのですが、まあぶっちゃけ ハッピーエンドよりも、なぎさ先輩の場合は前述したように、 バッドエンドにその神髄があると言えるでしょう(笑)。 何が酷いって、そのバッドエンド、最後の最後まではハッピーと 同じ流れってのがね(笑)。バッドの場合でも、なぎさ先輩の 自殺を止め、彼女を救って自室に連れ帰り、ほっと一安心、と いうところまでは共通しているのがなんとも意地悪です。 ハッピーの場合はそこからなぎさ先輩が謝罪したあと、お互いの 気持ちを確かめ合う穏やかな流れになるのですが、バッドの場合は かおりがなぎさ先輩を救ったことが逆の方向へのトリガーに なってしまいます。 すなわち、お互いにお互いを必要としているのだ、という点だけが なぎさ先輩の精神に刻まれ、お互いだけがいればそれでいいのだと いう結論を導いてしまうことに。 そしてラストシーンは、場所がどこなのか、時がいつなのかも もう分からなくなってしまったかおりが、視力を失い、喉を 焼かれ、鎖で監禁された状態でうつろな笑みを浮かべたまま なぎさ先輩と過ごしているという衝撃的な光景。それでも お互いがお互いのことを慕い想いあっている恍惚の中、 衰弱しきったかおりの意識は薄れ、消えていくという終末を 迎えます。 ここでおそろしいのは監禁調教という方向で自分の愛を成就した なぎさ先輩の方ではなく、むしろその状況にあってもなぎさ先輩を 深く愛していることが語られるかおりの方かもしれません。 単なるストックホルム症候群というわけではなく、それまでの 経緯を見ていると、かおりは素でなぎさ先輩に対し、そこまで 深い感情を抱いていてもおかしくないと思わせるものがあるん ですよね。 ここに来て、どうやらこの作品の登場人物はみんな大なり小なり 病んでいるらしいことが明らかになってきましたが(笑)、 作品名の「恋愛症候群」という言葉にも、初見時のライトな感覚 とは裏腹の、重たい意味合いが感じ取れそうな気がします(笑)。 [No.1663] 2011/10/04(Tue) 21:18:31 |