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百合ブームのはるか先がけ、戦前の少女小説の金字塔が文庫化 されました。自分も未読でしたので、これを機に読んでみました。 本編は全52話の短編・掌編からなっていて、相互に物語的な 関連性はなく、ただ各タイトルに花の名前が付けられていることが 共通しています。 内容は、父と娘、あるいは姉と弟などを主題にした2、3本を除き すべて少女同士の思慕を描いた、百合……というより、この 時代だからエスというべきでしょうか、そのエスのお話ですね。 各エピソードには長短があり、初期作品ではわずか4Pほどで終わる ものもありますが、後半になるとかなりボリュームのあるお話も 書かれていますね。 短い作品では、憧憬とも呼べないような淡い一瞬の心の 揺らめきが描かれることのみの場合もありますが、物語が 厚みを増してくると、筋立てもしっかりしてくると同時に 相手への想いも、愛と呼び恋と断じる明確な感情になってきます。 だからといって、序盤の短い作品が劣っているというわけでも ないと思いますけどもね。むしろ、ひとときの、わずかな邂逅で あるからこその鮮烈さと切なさ、という意味では、初期短編の メランコリックな抒情性も捨てがたいものがあるかもしれません。 切なさ、と書きましたが、この52話に共通するもう一つの ポイントがあるとすると、まさにその切なさといった部分。 ほとんどの作品が、いわゆるハッピーエンドでは終わらずに 悲しい結末を迎えます。あるいは身分の差、あるいは 家制度の犠牲、さらには生き方の違いで別れ行き、または 病に倒れて天に召され、あるいは正気を失ってしまうなど。 心中EDもいくつかありますが、まだそれは二人で死ねる 分だけ幸せなのかなという勢い(笑)。 本質的に認められず幸福になれない、いわば破滅の裏返しの 恋であるからこそ、少女たちの想いはより美しく際立って 印象に残るのかもしれませんね。百合といえば破滅ED、と いう定番のパターンは今の時代だとちょっと捻りがないと 思うこともありますが、時代背景的にこの作品だと無理なく 自然に受け取れるところもあります。 この作品の特徴である、比喩・修飾・慨嘆などを多用した 典雅で美麗な文章も、本編の趣を深めていますね。 鏡花的な、というところなのかもしれませんが、ラヴクラフトを 想起してしまったところが我ながらアレだなーと(笑)。もちろん、 緻密に論理的に物語を構築するラヴクラフト作品と本作は まったく異なった設計思想で描かれたものではあるのですが、 どちらも多弁でくどいともいえる表記それ自体を雰囲気の 構築に利用しているとはいえるかもしれません。ラヴクラフトは 恐怖の、本作は儚さを包んだ美しさの、どちらも幻想を 語るのにふさわしい文体である……と強弁したりとか(笑)。 [No.753] 2009/05/05(Tue) 21:16:40 |