「客観的な評価の視点」第2弾です。 前回も書きましたが、実際に走るときの意識すべきポイントではありません。動画等で評価をするときの視点の話です。 大事なところなので勘違いしないようにしてください。ここを間違うと走りを崩してしまう可能性もあります。
今回は右足が地面をとらえる瞬間のコマです。 左の画像がマークあり、右の画像がマークなしです。
注目するポイントは3点です。 まず1点目が右足(シューズの位置)と右の大転子と右肩の3点を結んだラインが一直線に近い形状になっているかです。 実際に一直線になることはありませんが、できる限り近い形が望ましいです。 インパクトの瞬間なので大きな力が加わります。その衝撃に耐えて、起こし回転を生むためにできるだけ硬い姿勢が必要なためです。 画像を見てみるとマークありのほうが一直線に近づいていることが分かります。接地の瞬間に膝や腰で曲がって反発を緩衝したり、関節が曲がることによるタイムロスを防ぐことができそうな姿勢です。 ただ、3点を結んだ直線の角度が後方に傾いているため、若干のブレーキ動作につながっていますので、垂直に近づいていくとよりよくなります。
2点目は、両膝の位置関係です。 走動作では、身体より前で脚を裁くことが重要なポイントで、身体より後ろで大きく動くことを「流れる」といい良くない動作の代表例です。 接地の瞬間の軸足の膝の位置(今回は右膝)に対して遊脚の膝(今回は左膝)が前方にあることが望ましいです。 キックを終えて地面から離れて最短距離で切り返されてくれば、早いタイミングで軸足の膝を遊脚の膝が追い越すことが可能になるので、身体より前で脚を裁く局面をより長く確保することができます。 画像を見てみると、若干のコマずれがありますが、マークありは膝がそろっていますのでマークなしに比べ早いタイミングでの切り返しが行われています。
3点目ですが、非常に細かい点です。 接地する足の開きです。 人が歩いているときは、踵の外側から接地し小趾球を経て拇趾球に体重が抜けていきます。 スプリント動作では、「踵の外側から」を省略し、「小趾球を経て拇趾球」あたりから接地し一気に拇趾球に抜けていきます。 ここで、小趾球で接地してしまうと足の向きが地面に正対していないので、インパクトに負けてしまいます。また、小趾球から拇趾球に抜けていく実時間のロスにもなります。 前足部全体で接地することが求める動作です。 画像を見てみると、マークありは接地しているので評価が難しいですが、膝が正面を向いていることから前足部全体に近い形でインパクトの瞬間を迎えられたのではないかと推察されます。
今回の評価の視点・ポイントは以上です。 何回も書きますが、実際に走るときに意識するポイントではありません。 うまく走れているか客観的に評価するための視点です。 間違えないようにしてください。 No.924 - 2020/02/09(Sun) 22:37:51
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